Skip to content

EU、オンラインギャンブル・暗号資産・巨大テック企業への新税を検討 年間110億ユーロ規模の計画

Tony Colapinto
執筆者 Tony Colapinto
翻訳者 Hanako Takagi

欧州委員会は、EU予算の新たな財源を特定するため、急成長するデジタル分野の調査を進めている。現在ブリュッセルで検討されている選択肢には、大手テクノロジープラットフォーム、暗号資産市場、オンラインギャンブルに関する新たな課税制度が含まれている。

この議論は、2028年から2034年までを対象とする欧州連合の次期多年次財政枠組み(7年間の予算計画)をめぐる複雑な交渉の一環である。欧州の各機関は、加盟国からの拠出金への依存を軽減し、パンデミック後の復興計画「Next Generation EU」の資金調達のために発生した債務返済を支援する新たな「自己財源(Own Resources)」の確保を目指している。

加盟国間で共有され、複数の欧州メディアが報じた試算によると、新たな税制措置パッケージにより、年間最大約110億ユーロの追加歳入が見込まれている。しかし、政治的な議論は依然として継続中であり、最終決定には財政需要、市場競争力、各国の財政自主権の間で慎重なバランスを取る必要がある。

オンラインギャンブル税:3%の欧州課税案

iGaming業界で最も議論を呼んでいるテーマの一つが、オンラインギャンブルに対する欧州共通税の導入可能性である。報道によると、欧州委員会は業界の純収益に対して3%を課税するモデルを分析しており、この措置により2028年から2034年までの期間に年間約19億ユーロの歳入が見込まれている。

この問題は特にデリケートである。欧州のデジタルギャンブル市場は依然として大きな規制の断片化が特徴となっているためだ。現在、EUレベルで統一された課税枠組みは存在せず、各加盟国がギャンブル規制、ライセンス制度、事業者への税率設定に関する権限を保持している。

この統一性の欠如は、欧州での議論において指摘される主要な技術的課題の一つである。オンラインギャンブルの共通定義が存在せず、課税モデルも国ごとに大きく異なるため、EU全域に適用可能な単一制度の構築が困難となっている。

現在検討されている案には、事業者の利益率に基づく負担金、ギャンブル活動による収益への課税、あるいはユーザー参加に連動する間接的な仕組みなど、複数の適用基準が含まれている。

この問題は税収だけにとどまらない。ブリュッセルは、オンラインギャンブル業界をデジタル化と欧州単一市場の統合によって成長した、国境を越える産業と位置付けている。そのため、一部の欧州機関は、EUのデジタルインフラから恩恵を受ける事業者がより大きく貢献すべきだと主張している。

欧州デジタル税:広告、データ、オンラインサービス

iGamingと並んで、この計画のもう一つの焦点が大手デジタルプラットフォームである。欧州委員会は、イタリア、フランス、スペインなどの加盟国で既に導入されている制度を参考にしたEUデジタル税の導入を検討している。

この提案では、オンライン広告、デジタル仲介サービス、ユーザーによって生成されたデータの商業利用など、特定のデジタル活動から得られる収益に対して3%の課税を行うことが想定されている。

予備的な評価によると、この種の措置によりEU予算には年間約50億ユーロの歳入がもたらされる可能性がある。

大手テクノロジー企業への課税をめぐる議論は長年続いており、主にグローバルプラットフォームが生み出す経済価値と、それらが事業展開する市場で実際に負担している税額との関係が論点となっている。しかし、デジタル活動への欧州課税は、国際的な大手テクノロジー企業の圧倒的な存在感を背景に、政治的・外交的な抵抗に直面する可能性がある。

暗号資産税:取引とキャピタルゲイン

ブリュッセルが検討している新たな自己財源の第三の柱は、暗号資産およびデジタル資産分野である。暗号資産市場の成長と、この分野に対する欧州規制の整備が進む中で、新たな課税手段導入の可能性が取り沙汰されている。

主な選択肢は二つある。一つは暗号資産取引への課税、もう一つは暗号資産投資によるキャピタルゲインへの課税である。

前者の場合、取引額に対して0.1%を課税することで、現在検討中の試算によれば年間30億〜40億ユーロの税収が見込まれる。後者の投資利益課税については、見込まれる税収は年間10億〜24億ユーロと、より限定的なものになると予想されている。

欧州の暗号資産税が導入されれば、それは欧州連合がデジタル資産に関するより体系的な規制枠組みの構築を目指す時期と重なることになる。そこでは技術革新、投資家保護、金融リスク管理のバランスが求められている。

ブリュッセルと加盟国の協議は継続

オンラインギャンブル、デジタルプラットフォーム、暗号資産に対する新たな欧州課税は、現時点ではまだ検討段階の提案に過ぎない。EUの新たな自己財源を承認するためには、複雑な制度上の手続きを経る必要があり、さらに全加盟国の同意も求められる。

欧州議会はすでに、2028年から2034年の次期予算に向けて新たな歳入源を確保する必要性を支持しており、デジタル化が進み急成長している産業がEUの共通優先課題の資金調達により大きく貢献できるとの見解を示している。

一方、欧州委員会は、新たな自己財源を各国政府への負担を過度に増やすことなく将来のEU予算を支えるための重要な手段とみなしている。次期財政枠組みでは、Next Generation EU関連債務の返済から今後数年間の戦略的投資まで、多くの課題に対応しなければならない。

iGaming業界だけでなく、フィンテックおよび暗号資産業界にとっても、この議論は極めて重要な意味を持つ。新たな欧州課税制度は、加盟国間の協調を強化する一方で、事業者や投資家に新たなコストをもたらし、市場の力学を変える可能性がある。

最終的な方向性は今後の交渉で決定され、2026年末までに将来の欧州予算に関する合意形成を目指している。それまでは、オンラインギャンブル、デジタルプラットフォーム、暗号資産が、今後数年間の欧州デジタル経済における最も重要な税制議論の中心であり続けるだろう。

この記事は2026年6月2日にイタリア版SiGMA Newsで初めて掲載された。

2026年11月2日から5日にかけて、すべての道はローマで開催される最大級のカンファレンスへと通じる。SiGMA WorldがFiera Romaを舞台に開催され、30,000人の参加者、1,000社以上の出展企業、550人以上の専門スピーカーが集結する。適切な出会いが、あなたの事業戦略を大きく変える場所がここにある。