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2026年のゲーミング業界におけるAIの現状:創刊ベンチマーク報告書

Jefferson Mendoza
執筆者 Jefferson Mendoza
翻訳者 Hanako Takagi

ネバダ大学ラスベガス校(University of Nevada, Las Vegas、UNLV)国際ゲーミング研究所(International Gaming Institute、IGI)のAIリサーチハブ(AiR Hub)は、KPMG LLPとの共同で、『State of AI in Gaming 2026』の第1版を公表した。この年次ベンチマーク・シリーズは、人工知能(AI)が世界のギャンブル業界をどのように変えつつあるのかを追跡するものである。

この報告書はSiGMA Newsに共有されており、同メディアは今年、「責任あるAI」をテーマの中心に据えている。

IGIのリサーチディレクターであり、本報告書の編集長でもあるカスラ・ガハリアン博士(Dr. Kasra Ghaharian)は、次のように述べた。社会はいま、AIをめぐる転換点にある。それにもかかわらず、これまでギャンブル業界がどの地点に立っているのかを理解するための、厳密で独立した基準は存在しなかった。

『State of AI in Gaming』は、その空白を埋めるために設計されたものであり、導入、投資対効果、そして責任ある統合をめぐって舵取りを行う事業者、規制当局、研究者、その他すべての関係者にとって不可欠な資料となる。

調査範囲と方法論

この報告書は、世界のギャンブル企業83社と規制当局113機関から得た知見、15年分の学術論文分析、特許出願データ、そして専門家の寄稿に基づいている。

また、AI導入について、業界成熟度、規制環境、イノベーションのパイプライン、責任ある活用という4つの観点から検証している。報告書は、主に「Industry Index」「Regulatory Pulse」「Research & Advancements」の3部で構成され、これに加えて、その年の最重要課題を扱う年次特集セクションが設けられている。

第1部:Industry Index

このセクションでは、ランドベースとオンライン型の両分野にまたがる世界83のギャンブル組織を対象にした調査結果が示されている。回答者には事業者とサプライヤーが含まれ、各組織につき1件の回答が集計された。調査では、AIがどこで活用されているのか、どの程度進展しているのか、価値を生み出しているのか、拡大の主な障壁は何か、そして労働力にどのような影響を及ぼしているのかが検証された。

業界には意欲が見られる一方、導入はなお初期段階にとどまっている。たとえば、AI成熟度の平均スコアは100点中45点であり、ガバナンスをめぐる懸念の大きさが浮き彫りになっている。また、多くの企業は戦略的な意欲を持ちながらも、効果的に拡大するためのインフラや専門知識を欠いていることが明らかになった。

さらに、ランドベース事業者は、戦略の弱さやレガシーシステムの存在により、オンライン事業者に大きく後れを取っている。複雑な物理的環境が実装を難しくしているが、正式な戦略、専門人材、インフラへの投資により、この差を縮められる可能性がある。

業界全体では、AI活用は技術、セキュリティ、プロダクト・イノベーションに集中しており、全取り組みのほぼ半分を占めている。一方で、生成AIは急速に浸透しており、80%超の企業がコンテンツ作成やインサイト抽出に利用している。ただし、エージェント型AIの導入は依然として限定的であり、コンプライアンスやプレイヤー保護への懸念が制約となっている。

AI導入の最大の動機はコスト削減だが、投資対効果は見えにくい。2年以内に有意義なROIを開示している組織は5社に1社にとどまり、4社に1社は体系的な評価プロセスすら持っていない。報告書によれば、明確な指標がなければ、組織は成功の定義すら難しく、そもそもリターンが生じるのかどうかも判断しづらい。

そのほかの障壁として、研修不足、リソースの制約、脆弱なガバナンス体制も指摘されている。調査対象組織のほぼ半数は、AIに特化した採用計画を持っておらず、より強固な人材戦略の必要性が示されている。

(出典:Statista)

第2部:Regulatory Pulse

過去36か月の間に、ギャンブル規制地域におけるAIガバナンスは大きく変化してきた。このセクションでは、世界各地の立法・政策動向を整理した規制スキャンと、Vixioが集計したギャンブル規制当局幹部・職員113人への独自調査を組み合わせている。

規制上の動きは、北アメリカ(North America)と西ヨーロッパ(Western Europe)に最も集中している一方、中・東ヨーロッパ(Central and Eastern Europe)、中東(Middle East)、アフリカ(Africa)では、ほとんど、あるいは全く進展が見られない。動きのある法域では、プレイヤー保護のために自動化を活用することが優先課題となっている。ベルギー(Belgium)、フィンランド(Finland)、イタリア(Italy)、そしてアメリカ合衆国(U.S.)やカナダ(Canada)の複数の州・地域では、プレイヤーを被害から守るためにAI駆動型の監視システム活用が推奨されている。

この報告書はまた、大きな隔たりも明らかにしている。規制当局は、ライセンシーによるAI活用を監督する自らの能力に自信を持てておらず、現在どのようにAIが使われているかについての認識も乏しいと報告している。規制当局は、ライセンシーの主な活用分野として顧客対応機能を挙げることが多いが、実際の導入は技術、セキュリティ、プロダクト・イノベーションに集中している。この認識のずれが、規制当局の有効な対応を妨げ、政策の的外れを招くおそれがある。

ただし、一つの一致点もある。それは、責任あるAIの実践がなお十分に発展していないという点である。規制当局の多くは、ライセンシーの間でそのような実践が行われていることを把握していないと回答した。この結果は、Maturity IndexでAIガバナンスが100点中30点にとどまったことが示すガバナンス上の欠陥と重なっている。

第3部:Research & Advancements

このセクションでは、学術論文の15年にわたる計量分析、2020年から2025年までのカンファレンス議論、特許活動、業界ニュースの傾向、そしてZero Labsによるスタートアップ動向の専門家分析という5つの視点から、業界におけるAIイノベーションの流れを追っている。

学術研究の分析からは、AI関連のギャンブル研究が着実に増加しており、スポーツベッティングや問題ギャンブルが、ポーカーに代わって主要テーマになっていることが明らかになった。

一方、カンファレンスでもAI統合への関心の急上昇が映し出されており、関連セッション数は2020年の3件から2025年には81件に達した。議論の中心は、コンプライアンス、マーケティング、CRMであった。しかしこれは、第1部「Industry Index」で、企業における最も活発な活用分野が技術、セキュリティ、プロダクションであったという結果とは対照的である。

特許出願も、この伸びを裏づけている。ギャンブル関連のAI特許は、2010年の年15件から、2025年には100件に増加した。主導しているのは、IGTやライト&ワンダー(Light & Wonder)などのサプライヤーである。全世界の出願の61.4%をアメリカ合衆国(United States)が占めた。

業界ニュースでは、技術と政策が報道の中心を占めており、市場の成熟が進んでいることを示している。加えて、プロダクト・イノベーションが新たなテーマとして浮上し、CRMやカスタマーサポートも引き続き注目されている。

スタートアップの動きからは、ベンチャーキャピタルがデータ、AI、ギャンブルの交差点にある企業へ流れ込んでいることが見て取れる。ただし、規制の複雑さは既存大手に有利に働き、構造的な参入障壁を高めている。それでも、データネイティブなスタートアップの支持者たちは、破壊的変化の条件が整い始めていると主張している。

第4部:Responsible AI

このセクションでは、インシデント追跡、規制当局のコメント、業界の実務に関する調査データをもとに、ギャンブル業界における責任あるAIの現状を検証している。

報告書によれば、ディープフェイクや被害検知の失敗を含むAI関連の問題は、2023年以降急増している。その他に報告された問題としては、過度に攻撃的なターゲティングや、プレイヤー保護システムの機能不全などがある。

一方で、規制当局もAIを独立した懸念領域として認識し始めている。しかし現時点では、その多くがAIを専用の枠組みで扱うのではなく、既存ガイドラインの下で管理すべき一技術として捉えている。

さらに別の調査結果では、企業の約3分の1が責任あるAIの枠組みを全く持っていないと回答している。組織全体に責任あるAIを組み込んでいる企業はわずか2%にすぎず、何らかの実践があると答えた企業でも、その取り組みの深さは限定的である。加えて、約3分の1は自社の取り組みを「開始段階」または「基本的」と表現し、別の約3分の1は、各施策にまたがって運用済みまたは統合済みの実践があると報告している。

こうした表明にもかかわらず、自己申告による成熟度は、透明性、説明責任、信頼性といった重要な側面における堅牢な実装に、必ずしも一貫して結びついていない。一方で、報告書が指摘している例外としてデータプライバシーを挙げており、この分野では、より強固な実践が見られる。

ガバナンスと監督の面では、責任あるAIに特化した役職は依然としてまれであり、AIガバナンスの職位を設けている組織は20%未満にとどまる。また、監督体制も断片的である。約4社に1社は複数の機能部門に責任を分散させており、15%は正式な監督体制がまったく存在しないと答えている。明確な説明責任の仕組みは、しばしば欠如している。

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