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iGamingにおける詐欺:アジアは賢い詐欺師を出し抜けるのか

Ansh Pandey
執筆者 Ansh Pandey
翻訳者 Hanako Takagi

アジアは急速に世界で最も活気あるiGaming(オンラインゲーミング)のフロンティアとして台頭しています。マカオやマニラの華やかなランドカジノから、スマートフォンを通じてアクセスできる広大なオンラインギャンブルプラットフォームまで、大陸全体でベッティング、ポーカー、eスポーツ、ライブディーラーゲームなど、あらゆるタイプのゲームエンターテインメントが提供されています。

若くてモバイル中心の人口と急成長するデジタル決済システムを背景に、アジアのiGaming業界の価値が急拡大しているのも不思議ではありません。2025年時点で、この地域の総ゲーミング収益(GGR)は控えめに見積もっても250億〜300億ドルと推定されています。しかし、中国、インド、インドネシアといった国々における膨大な量の未規制またはオフショアの活動により、実際の数字はこれを大きく上回る可能性があります。

しかし、この急成長の裏側で、業界は陰湿かつ深刻化する問題—詐欺—に直面しています。アジアのiGaming市場は、フィリピンやカンボジアのように規制されたB2B(企業間取引)の拠点と、不透明またはオフショア市場とに鮮明に二分されています。規制された市場では、事業者はライセンスを取得し、PAGCOR(フィリピン娯楽・ゲーミング公社)などの現地当局の監督を受けています。

一方で、消費者トラフィックの大部分は、オンラインギャンブルが制限されている、あるいは法的グレーゾーンで運営されている国々から来ています。たとえば、中国では越境ギャンブルが犯罪化されており、インドでは州ごとに法律が異なります。インドネシア、パキスタン、バングラデシュもまた、高い需要市場であると同時に詐欺のホットスポットとして浮上しています。

この地域では、スポーツベッティング、ライブディーラー体験、デジタル中心のエンゲージメントの人気により、年平均成長率(CAGR)8〜10%が見込まれています。しかし、持続的に事業を拡大するためには、業界を直撃し始めている高度化する詐欺リスクに対処しなければなりません。

東南アジアで詐欺率が急増

2022年から2024年第1四半期までの間に、世界のiGaming詐欺は前年比で64%増加しました。ユーザーのオンボーディング申請に対する詐欺試行の割合は、世界全体で0.4%から1.1%に上昇し、アジアでは平均を上回る増加が見られました。

Sumsubの最新データによれば、アジアは引き続き世界のiGaming業界で最も高い詐欺率を記録しています。同地域は2025年初頭に詐欺率3.49%を記録し、2年連続で世界トップとなりました。

出典:Sumsub

同じ期間において、ヨーロッパの詐欺率ははるかに低く、1.16%でした。一方、ラテンアメリカでは詐欺の急増が見られ、2023年から2024年にかけて前年比で30%以上増加しました。報告書によると、この急増は地域での規制変更と深く関係しています。特にブラジルはディープフェイクのホットスポットとして浮上しており、詐欺率はアメリカの5倍、ドイツの10倍にも達しています。詐欺師たちは新しいコンプライアンス体制の隙を試しているのです。

アジアでは、インドネシアが2025年第1四半期に8.46%という最も高い詐欺率を記録し、次いでバングラデシュが7.51%でした。パキスタン(6.1%)や韓国(6.6%)でも、世界平均を大きく上回っています。具体的に言えば、インドネシアでは2025年第1四半期だけでiGamingの申込者のおよそ12人に1人が詐欺としてフラグが立てられた計算です。

この調査結果は、需要の高まりとともに進化する詐欺手法に対処しなければならない地域のオペレーターにとって、大きな課題を示しています。

ディープフェイクとAIの台頭

詐欺の手口は急速に進化しており、人工知能の活用が顕著になっています。2022年から2023年にかけて、オンラインゲームの本人確認におけるディープフェイクの試行数は10倍に増加しました。2024年初頭には、ディープフェイク関連の詐欺が全詐欺案件の0.79%を占め、2022年のわずか0.03%から大幅に増加しています。さらに、オペレーターによれば、書類確認詐欺の78%が偽造または加工されたIDによるもので、「セルフィーの不一致」試行がフラグ対象の73%近くを占めています。

特に狙われているのは、口座開設や出金ではなく、入金の段階です。2024年の全攻撃の約41.9%が入金時に発生しており、プロによる組織的な詐欺グループが取引上の抜け穴を突いていることが示唆されています。

さらに、時間帯別データからも懸念される傾向が見えます:詐欺行為の多くは午前4時から8時の間に集中しており、セキュリティやコンプライアンスチームが手薄になりやすい時間帯です。一方で、本物の利用者は午後6時ごろにアカウント登録を行う傾向があり、詐欺師と正規ユーザーの間には明確な行動パターンの違いがあることがわかります。

驚異的な経済的インパクト

詐欺がオペレーターに与える経済的打撃は驚異的です。アジアの多くのオペレーターを含む世界のiGamingオペレーターの約83%が、前年より詐欺が増加したと報告しています。さらに、コンプライアンスチームのほぼ半数が「詐欺によって収益の10%以上が失われた」と回答しました。

こうした脅威がある一方で、本人確認システムの改善も進んでいます。アジアでは、正規ユーザーの本人確認通過率が2023年の63.48%から2025年には88.87%に上昇しました。これは詐欺の手口が高度化している一方で、オペレーター側も不正利用者をより的確に排除できるようになっていることを示しています。

またデータによると、アジアは特に東南アジアのホットゾーン(カンボジア、ラオス、ミャンマーなど)で詐欺組織の温床となり続けています。これらの地域では犯罪グループが詐欺センターをiGamingやPOGO(フィリピンのオフショアゲーミング事業者)拠点と偽装しています。NGOや法執行機関の報告によると、一部の詐欺拠点では恋愛詐欺や暗号資産詐欺などのネット犯罪に、人身売買の被害者が強制的に従事させられているケースもあります。

国連薬物犯罪事務所(UNODC)の推計によれば、こうした東アジア・東南アジアの詐欺による経済的損失は、2023年だけで180億〜370億ドルにのぼった可能性があります。

規制当局も動き出す

地域の政府も黙ってはいません。フィリピンでは大規模な規制改革が進行中です。これまでオペレーターと規制機関を兼ねていたPAGCORは、2025年末までに純粋な規制機関へと移行予定です。利益相反を排除するため、40以上の国営カジノも民営化される計画です。

この移行の一環として、eゲーミング事業者には認証済みのサイバーセキュリティシステムの導入と、第三者監査ツールとの連携が義務づけられました。違反した場合、罰金やライセンス取り消しの可能性もあります。さらに2025年4月に導入された新しい認定基準では、アフィリエイトやサービスプロバイダーのカテゴリーと手続きを明確化しました。

一方タイでは、シンガポールを参考にした統合型リゾート(IR)内のカジノ設置を認める法案を閣議で協議中です。各リゾートには2億8,000万ドル以上の資本金、総投資額28億ドル以上が必要とされます。また、タイ国民にはギャンブル依存対策として、140ドルの入場料と140万ドル以上の銀行預金要件を課す制限が設けられる予定です。

この法案が議会を通過すれば、観光収益の大幅増加や、タイのゲーミング産業の合法化・整備につながると期待されています。

アジアは流れを変えられるのか?

アジアは依然として世界で最も価値が高く、同時に最も挑戦的なiGaming市場です。規制が整った地域と、ほとんど規制されていないブラックマーケットが混在しており、大きな可能性とリスクが同居しています。オペレーターにとって重要なのは、プレイヤーの登録・確認プロセスやマネーロンダリング対策(AML)の強化、幅広い利用者層に合わせたローカライズコンテンツ、そしてモバイル中心の決済手段を提供することです。

しかし、こうした取り組みは詐欺を効果的に抑えられてこそ成果を上げます。セキュリティはもはや裏方の問題ではなく、ビジネスの中核です。詐欺師たちがさらに高度かつ大胆になる中で、オペレーターも迅速さ・賢さ・柔軟さを駆使し、企業とプレイヤー双方を守らなければなりません。

SiGMAヨーロッパ・地中海は2025年9月1〜3日にマルタで開催。400以上の出展者、400人以上のスピーカー、12,000人の参加者が集まり、次世代ゲーミングの革新をリードします。