Skip to content

マカオ、6月の訪問者数が3.1%減 宿泊観光が低迷

Anita Tseng
執筆者 Anita Tseng
翻訳者 Hanako Takagi

マカオへの訪問者数は今年上半期も増加を続けました。しかし、6月の統計では宿泊客が減少するなど、訪問者の動向に変化が見られます。一方で、SJM Resortsは地域観光プログラムを拡充しました。この取り組みは、宿泊施設の供給不足という制約がある中でも、マカオがギャンブル以外の観光魅力の強化を目指していることを示しています。

宿泊客の減少が6月の訪問者数を押し下げる

マカオ政府統計・センサス局(DSEC)によると、6月の訪問者数は約280万人となり、前年同月比で3.1%減少しました。この減少は主に宿泊客が9%減少したことによるもので、一方で日帰り客は1.6%増加し、164万人となりました。

宿泊客の平均滞在日数は2.4日で前年と変わりませんでした。しかし、全体の平均滞在日数は前年より0.1日短い1.1日となり、短期間の訪問が増加する傾向が続いていることが示されました。

FIFAワールドカップがゲーミング需要を分散

市場では、6月の業績低迷の一因はFIFAワールドカップによってゲーミング支出が分散したことにあるとの見方が一般的でした。シティグループは、大会期間中のマカオの総ゲーミング収益(GGR)が前年同期比で約10%減少すると予測していました。実際には、6月のGGRは12.1%減少しました。総ベッティング取扱高も前年同期比38%減となり、パンデミック以降で最低水準となりました。

この結果を受け、マッコーリーはマカオの年間GGR成長率予測を7.7%から5.4%へ引き下げ、下半期のゲーミング収益の伸びに対する見通しを下方修正しました。

上半期の成長は日帰り客がけん引

6月は減速したものの、上半期のマカオ訪問者数は2,094万人となり、前年同期比9.0%増加しました。この成長は主に日帰り客によるもので、15.3%増の1,289万人となりました。一方、宿泊客はわずか0.2%増の805万人にとどまりました。

中国本土からの訪問者は11%増加し、台湾からは24.7%増となりました。タイからの訪問者は50%以上増加した一方、フィリピンからの訪問者は1.2%減少しました。

ギャンブル以外の消費額も第1四半期に過去最高を記録しました。ギャンブル以外の総消費額は前年同期比24.5%増の244億3,000万マカオパタカ(約30億3,000万米ドル)となり、訪問者1人当たりの平均ギャンブル以外の支出も9.5%増の2,179マカオパタカ(約270.5米ドル)となりました。

CreditSightsは、中国本土の経済成長の鈍化により、訪問者1人当たりの支出は抑制される可能性が高いと指摘しています。そのため、今後のマカオ観光業では、訪問者数の継続的な増加がこれまで以上に重要になるとみられています。

ホテル客室不足が宿泊観光の成長を制約

日帰り客の割合が増えている背景には、マカオのホテル客室数の不足があります。Melco Resorts & Entertainmentの幹部によると、マカオのホテル客室数は約4万6,000室です。これに対し、ラスベガスには約15万3,000室あります。この差が、マカオで日帰り客の割合が比較的高い理由の一つと考えられています。

マカオ特別行政区政府は、「2024~2028年『1+4』経済多角化戦略」のもと、2019年には10%未満だった非ゲーミング産業のGDPへの寄与率を、2028年までに60%へ引き上げることを目指しています。

2023年までに、マカオGDPに占めるゲーミング産業の割合は50%超から37.2%まで低下しました。一方で、一部のマカオ立法議員は政府に対し、この戦略の実施を加速するよう求めています。議員らは、ゲーミング産業が依然として地域雇用の約18.9%を占める一方、非ゲーミング産業の拡大はより緩やかなペースにとどまっていると指摘しました。

SJM Resorts、地域観光プログラムを拡充

マカオでは日帰り客や短期滞在客が増加する中、SJM Resortsは「Adventure Bus: Discover the Community」プログラムの第2フェーズを発表しました。

拡充されたプログラムは7月17日から来年1月3日まで実施されます。Grand Lisboa発の新ルートを導入するほか、夏休み期間中は金曜日の運行を追加し、国慶節、クリスマス、年末年始には運行本数を増やします。

4月の開始以来、このプログラムは地域コミュニティへの来訪者を増やすとともに、中小企業に新たなビジネス機会を創出してきました。

マカオ全体で非ゲーミング投資が加速

SJM Resortsによる地域観光の取り組みは、非ゲーミング施設拡充に向けたより広範な動きの一環です。同社は2023年にGrand Lisboa Hotelの改装を開始し、非ゲーミング投資の公約を進めています。一方、Galaxy Entertainment Groupは、Galaxy Macau第4期を2027年に完成させることを目標としており、この拡張計画を非ゲーミング中心の統合型リゾートとして位置付けています。

Sands Chinaの最高経営責任者(CEO)であるグラント・チャム氏は最近、マカオの次の成長段階はハードとソフトの融合にかかっていると述べました。つまり、新たな建設だけに頼るのではなく、インフラ整備とブランド構築、人材育成、デスティネーション・マーケティングを組み合わせることが重要だとしています。

完成までに何年もかかる大規模開発と比べると、SJM Resortsの地域観光プログラムは比較的低コストであり、大規模な非ゲーミングプロジェクトの完成を待つ間でも、来訪者数と消費を即座に生み出せる取り組みとなっています。

地域観光は日帰り客を宿泊客へ転換できるか

SJM Resortsの取り組みは、非ゲーミング分野を強化しようとする業界全体の動きと歩調を合わせています。これは、文化分野のエグゼクティブであるアンジェリタ・テオ氏がMarina Bay Sandsのアトラクション部門副社長に就任したことにも表れており、統合型リゾート事業者がゲーミング収益だけに依存するのではなく、体験型アトラクションを活用して来訪者数を維持し、滞在期間の延長を図る傾向が強まっていることを示しています。

サプライヤーや投資家にとって重要なポイントは、比較的低コストの地域観光プロジェクトが、ホテル客室数の不足が続き、FIFAワールドカップの影響が薄れていく中で、日帰り客をより多く宿泊客へ転換するとともに、ギャンブル以外の消費拡大につなげられるかどうかです。

「Adventure Bus: Discover the Community」プログラムが4月の好調な開始に続き、今後も高い集客効果を維持できれば、他のライセンス事業者も同様の取り組みを導入する可能性があります。そうなれば、大規模インフラプロジェクトが完成するまでの間、マカオ観光業を支える暫定的な解決策となるでしょう。

この記事は、2026年7月20日に中国語版SiGMA Newsで初めて掲載されました。

アジアのiGamingの未来は、適切なつながりから始まります。2026年11月30日から12月2日まで、SiGMA South Asiaがコロンボで再び開催され、3,500人以上の業界関係者が一堂に会します。