イランに対する軍事攻撃の時期や、同国の最高指導者アヤトラ・アリー・ハメネイ(Ayatollah Ali Khamenei)の解任にまで賭けることを可能にしていた予測市場プラットフォームが、物議を醸す巨額の配当急増を受けて、米国で改めて厳しい監視の目にさらされている。
攻撃の時期に関連する契約には5億ドル超が投じられ、その中には最初の攻撃日を土曜日と正確に予測した賭けも含まれていた。また、ハメネイ師が権力の座から排除されるかどうかをめぐる別の市場にも、さらに1億5,000万ドルが賭けられた。
ハメネイ師は週末のイスラエルによる空爆で殺害され、公式確認前からオンライン上で噂が広がる中、賭け市場は激しく動いた。報道が確実性を増すにつれ、同師の解任に連動する契約は急騰し、配当は瞬く間に論争の的となった。
予測市場では、現実の出来事に連動した「イエス」または「ノー」の契約をユーザーが売買する。価格は新たな情報に対するトレーダーの反応に応じて変動し、結果がどの程度起こり得ると見なされているかを事実上示すシグナルとなる。

結果が確定すると、勝ち契約は1ドルで決済される。支持者は、この仕組みが群衆の感情や見通しをリアルタイムで反映できると主張する。一方で批判者は、特に戦争や暗殺、体制転換に関わるテーマは、重大な倫理的・法的問題を引き起こすと指摘している。
暗号資産ベースのプラットフォームであるポリマーケット(Polymarket)は、現在議論の的となっているイラン関連契約の複数を提供していた。分析会社バブルマップス(Bubblemaps)は、攻撃直前に資金が投入された賭けから、6つのアカウントが約120万ドルの利益を上げたと発表した。さらに別の企業も、1月中旬に新たに作成された、ほとんど取引履歴のないデジタルウォレットからの大量購入があったと指摘しており、その多くは3月末までに「ハメネイ解任」に賭ける内容に集中していたという。
ポリマーケット(Polymarket)とカルシ(Kalshi)、監視下に
ポリマーケットは最新の疑惑について公にはコメントしていない。ハメネイ師の解任に関連する契約は、結果の処理方法をめぐりトークン保有者が異議を唱えたため、「ディベート期間」に入っている。
競合取引所のカルシ(Kalshi)も、ハメネイ師の解任可能性に関する市場を運営していた。同社の最高経営責任者タレク・マンスール(Tarek Mansour)は、同社の規則に基づき一部手数料を返金し、配当を調整したと述べた。ソーシャルメディアへの投稿では、死亡の可能性を含む市場は、参加者が死亡結果から直接利益を得られないよう構造化されていると説明している。
配当やインサイダー取引疑惑は、政治的懸念を一段と強めている。米国法の下では、戦争や暗殺に関連するなど公共の利益に反すると見なされるデリバティブ契約は、禁止される可能性がある。
先月には、民主党の上院議員6人が商品先物取引委員会(CFTC)に書簡を送り、予測市場が規制の境界を侵害しているとの懸念を表明した。クリス・マーフィー(Chris Murphy)上院議員は、イラン関連の賭けを「正気の沙汰ではない」と表現し、こうした市場を禁止する法案を提出する意向を示した。
再びインサイダー取引か?
同様の論争は過去にも浮上している。1月には、正体不明のトレーダーがベネズエラ大統領ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)の退陣に賭け、約41万ドルの利益を得た。今回の一連の出来事の最中にも、わずか1日で数百万ドルを得た疑わしいアカウントが複数確認されている。
大手金融機関も注目している。ニューヨーク証券取引所(New York Stock Exchange)の親会社であるインターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange)は、最近ポリマーケットに20億ドル規模の出資を行った。また、個人投資家向け取引プラットフォームも、規制対象の取引所と提携して類似商品を提供し始めている。
現時点では、予測市場は一部の法専門家が「規制のグレーゾーン」と呼ぶ領域で運営を続けている。規模を拡大し、ウォール街の関心を集める一方で、より敏感な領域へと踏み込むにつれ、政治的な注目も一段と高まっている。
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