週末にイスラエルの空爆がテヘランを攻撃し、イランの最高指導者アヤトラ・アリー・ハメネイ(Ayatollah Ali Khamenei)を殺害したとの報が伝わると、その衝撃は瞬く間に広がった。そして数時間以内に、予測市場がその衝撃を「取引」に変えているとの批判が噴出した。
新たに人気を集めているポリマーケット(Polymarket)やカルシ(Kalshi)といったプラットフォームでは、攻撃の可能性や時期、さらにはハメネイ師が権力の座から排除されるかどうかに連動した「イエス・ノー」契約が取引されていた。月曜日までに、これらの賭けは現実の政治的論争へと発展し、スキャンダルへと発展しかねない状況となった。
ロイター(Reuters)は、「攻撃の時期に関連する一連の契約に5億2,900万ドルが投じられ、ハメネイ師が最高指導者の地位から排除されることに関する契約には1億5,000万ドルが賭けられた」と報じた。同じ報道では、分析会社バブルマップス(Bubblemaps)が「土曜日の空爆の数時間前に資金提供されたポリマーケットの賭けから、6つのアカウントが120万ドルの利益を上げた」と指摘したと伝えている。
こうした動きは、インサイダー取引や倫理問題への懸念をあおっている。ロイターは、特に現実世界の出来事の直前に大口ポジションが現れる場合、「こうした取引の合法性や倫理性、そしてインサイダー取引の可能性に関する長年の懸念を再燃させている」と報じた。

「これが合法だなんて信じられない」―キャピトル・ヒル(Capitol Hill)が戦争賭博を問題視
最も強い反応を示したのは、民主党のクリス・マーフィー(Chris Murphy)上院議員だった。彼はX(旧ツイッター)で「これが合法だなんて信じられない」と投稿した。
「トランプ(Donald Trump)の周辺にいる人々が戦争や死から利益を得ている。私はこれを禁止する法案をできるだけ早く提出する」と付け加えた。
It’s insane this is legal. People around Trump are profiting off war and death. I’m introducing legislation ASAP to ban this. https://t.co/iC0uPpaWC5
— Chris Murphy 🟧 (@ChrisMurphyCT) March 1, 2026
他の民主党議員もこれに続いた。ロイターはマイク・レヴィン(Mike Levin)下院議員の発言として、「予測市場が軍事行動に関する事前情報から利益を得る手段となってはならない。私たちは説明、透明性、そして監督を必要としている」との警告を伝えた。
ホワイトハウスはこれに反論した。ロイターによると、報道官デイビス・イングル(Davis Ingle)は「トランプ政権の意思決定を導く唯一の特別利益は、アメリカ国民の最善の利益だ」と述べた。
批判者にとって問題なのは単なる趣味や品位の問題ではなく、「インセンティブ(動機付け)」である。戦争やクーデター、指導者の死によって配当が支払われる市場は、そうした結果に影響を及ぼし得る人々や、何が起きるかを事前に知り得る権力に近い人々を引き寄せるリスクがある。
一方、予測市場の支持者は、特に公式声明が限られ、噂が急速に広がるような急展開の危機においては、公共的な役割を果たし得ると主張する。何千もの小口の賭けを単一の価格に集約することで、市場は情報を持つ参加者が何を起こり得ると考えているかというリアルタイムのコンセンサスを示すことができ、時には世論調査や評論家、速報ニュースよりも速く動くシグナルとなり得るという。ロイターは、ポリマーケットが予測市場は「群衆の知恵を活用して、正確で偏りのない予測を生み出す」と主張していると報じた。また、カルシはインサイダーを排除し、連邦規制の下で運営していると述べている。
グレーゾーン:規制当局、インサイダー、そして急成長する業界
予測市場は2025年に一気に公の注目を集め、周縁的な暗号資産の趣味という評判を脱した。大手テクノロジープラットフォームとの提携や、著名な政治・スポーツ関連取引の急増により、市場の「オッズ」はニュースフィードや公共の議論にまで広がった。
規制当局は、これらの契約が金融商品なのか、それとも新しい形の賭博なのかについて、いまだ明確な結論を出していない。ロイターは、「米国法は、戦争や暗殺に関与または関連するなど、公共の利益に反する賭けを禁止している」と指摘し、また、非公開情報に基づく取引は「関与者やその知識の内容によっては違法となり得る」と警告した。同様の不確実性は法廷でも展開されている。ロイターは、商品先物取引委員会(CFTC)が「米国選挙の結果に関する賭けを禁止しようとして法廷闘争に敗れた」と報じたが、その後「これらを監督する連邦枠組みを構築する計画だ」と述べている。
一方、プラットフォーム側は、自分たちは「死の賭けプール」を運営しているのではなく、情報ツールを構築しているのだと主張している。ポリマーケットは長らく、重要な出来事についてリアルタイムで偏りのない予測を提供することを使命とする、一種のリアルタイム指標であると自らを位置付けてきた。
米国で規制対象プラットフォームとして運営されるカルシは、イラン問題から距離を置こうとした。CNBCによると、同社は「死に直接結びつく市場は認めていない」とし、「この市場では、人々が死亡の結果について取引できないよう、あらゆる予防措置を講じた」と述べた。また、「ユーザーにとってUX(ユーザー体験)がより明確であるべきだったと考え、すべての手数料と純損失を返金した」とも説明している。
この業界には、組織的な反対も集まりつつある。「何と呼ぼうとも、ギャンブル商品は既存の州法および部族法に従わなければならない」と、元ホワイトハウス首席補佐官代行のミック・マルバニー(Mick Mulvaney)下院議員は述べた。同氏が新たに設立した業界団体「ギャンブルは投資ではない(Gambling Is Not Investing)」は、予測市場に対するより厳格な規制を求めている。「スポーツ賭博を『取引』『投資』『予測』と再ブランド化することは、消費者を誤導し、責任あるゲーミング保護を損ない、公共の保護や重要な地域サービスの資金源となってきた州および部族の制度を弱体化させる」と同氏は述べた。
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