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カジノフロアの先を見据えた統合型リゾートの姿

Jenny Ortiz-Bolivar
翻訳者 Hanako Takagi

アジア各地の統合型リゾートは、事業者がノンゲーミングの魅力を戦略の中心に据えることで再構築されつつある。これは、カジノフロアから、ホスピタリティ、食、エンターテインメント、テクノロジーを軸にしたより幅広い体験へと重点を移すことを意味する。

パサイ市で開催された「G2E Asia @ the Philippines」のパネルディスカッション「Beyond the Casino Floor: Redefining the Integrated Resort with Non-Gaming Innovation」では、マレー・インターナショナルの会長兼CEOであるナイアル・マレー氏、ニューポート・ワールド・リゾーツの最高ホスピタリティ責任者であるジョン・ルーカス氏、ソレア・リゾートのF&B(飲食)事業開発・戦略担当副社長であるサミュエル・ウィルクス氏が、世界的にノンゲーミングへの移行が進む背景と、この変化がなぜ業績の中核になっているのかを議論した。

ルーカス氏は、ホスピタリティと来訪者の行動という観点から変化を捉え、「IRが、従来型のゲーミングだけの場所ではなく、人々が長時間滞在してさまざまな体験をする場へと多角化していくことは極めて重要だ」と述べた。ニューポート・ワールド・リゾーツの来場者データでは、カジノ入口ではなく、ホテル、リテール、ダイニングの動線から入場するゲストが増加しているという。

「必ずしもゲーミング目的で来ているわけではない人が多い」とルーカス氏は付け加えた。「その数は増え続けており、私たちにはノンゲーミングの提供を拡充し続ける責任がある。」

ウィルクス氏は、このシフトを時間と利便性に対する意識の変化と結び付けた。「人々は限られた空間で多くのことを体験したいと考えている」と述べ、統合型リゾートは多様なアメニティを一カ所に集約することでその需要に応えていると説明した。ノンゲーミングのアトラクションは、純粋に来訪者をギャンブラーに転換するためのものではないが、顧客基盤を広げる役割は果たすという。「たとえ1~2%しかギャンブル志向がなかったとしても、まずは来場してもらうきっかけにはなる。」

ノンゲーミング投資で成果を出すもの

(左から:ニューポート・ワールド・リゾーツの最高ホスピタリティ責任者ジョン・ルーカス氏、ソレア・リゾートのF&B事業開発・戦略担当副社長サミュエル・ウィルクス氏、マレー・インターナショナルの会長兼CEOナイアル・マレー氏)

どのようなノンゲーミングのコンセプトがリターンを生むのかという話題になると、ルーカス氏はブランド提携や、ゲストの記憶に残る体験の価値を強調した。ニューポート・ワールド・リゾーツでは、シェフのゴードン・ラムゼイとのコラボレーションが、飲食戦略の中核となっている。

「私たちにとっては、ある種の賭けでした」と同氏は語る。「今も非常に好調で、戦略的な一歩であり、新しい挑戦でした。」

また、国際的なホテルブランドがノンカジノ客を呼び込む役割にも言及した。ニューポート・ワールド・リゾーツは、約2,500室に及ぶ複数のホテルブランドを運営している。「ノンゲーミング需要がなければ、これらの客室は決して埋まらない」とルーカス氏は言う。「世界で5億人を超える顧客層があり、そのごく一部を取り込むだけでも事業を大きく支える。」

ウィルクス氏も、エンターテインメント、飲食、小売の選択肢が豊富な市場では差別化が不可欠だと同意した。「他では簡単に手に入らないものである必要がある」と述べ、特定のリゾートでしか体験できない独自ブランドや体験が、遠方から足を運ぶ理由になるとした。

さらに、過去にうまくいかなかったアイデアはすでに淘汰されているとも付け加えた。「事業者は十分に経験と成熟を重ね、機能しなかったものは取り除かれている」とウィルクス氏は語る。「今見られるものは良いが、さらに独自性の高い体験を導入する余地はまだある。」

地域文化と国際的魅力の両立

繰り返し取り上げられたテーマは、フィリピンの国内客と海外客が混在する状況に合わせてノンゲーミング戦略を適応させる必要性だった。ウィルクス氏は、このバランスは他の地域とは異なると説明した。「国際客と国内客の比重が非常に拮抗しており、どこでも同じというわけではない。」

興味深いことに、両者が求めるものは似ている場合が多いという。「海外客はローカルな体験を求め、地元客はある程度の親しみやすさを求める」と同氏は述べた。これが、ソレアにおけるダイニングやエンターテインメントの構成に反映され、地元料理と国際的コンセプトが並存している。

また、シグネチャーイベントも重要な集客要因として浮上している。ウィルクス氏は、あるミュージカル作品の成功を挙げ、「良い作品になるとは分かっていたが、ここまでとは思わなかった」と語った。このショーは幼い子どもから高齢層まで幅広い年齢層に訴求し、日々新たな来訪者を施設に呼び込んでいる。

エンターテインメント・シティ全体で劇場や会場の計画が進む中、競争は激化するとウィルクス氏は警鐘を鳴らした。「再び差別化が重要になる」と述べ、利益率の圧縮が進む中で、国内外のゲスト双方に向けた提供内容の洗練が求められると指摘した。

来場者数を超えた成功指標

売上や来場者数が依然として主要指標である一方、ノンゲーミング投資の成果は、ロイヤルティや行動変化といった観点でも測られるようになっている。

「顧客が何を見たいのか、そのバランスを確保することが重要だ」とウィルクス氏は述べ、得られた知見が将来の開発判断を導くとした。

ルーカス氏は、イベント前後のゲスト行動を理解する重要性を強調した。「来てすぐ帰るだけでも良い」としつつ、「もし事前に食事をせず、事後に一杯も飲まないなら、それは機会損失だ」と語った。

テクノロジー、パーソナライゼーション、そして将来の顧客体験

テクノロジーも、ノンゲーミング体験を形作る重要な要素となっている。ウィルクス氏は、データやAIの進展により、これまで不可能だった方法でゲストを理解できるようになったと述べた。「彼らが何を求めるかを、ほぼ先回りして予測できる」と語り、これを“先読みサービス”の目標だとした。

一方で、客室内電話のような従来の接点が、デジタル注文やメッセージングプラットフォームに置き換えられている点にも触れた。ただし、テクノロジーは高コストで陳腐化も早いと警告する。「新しい技術を導入した瞬間に、すでに時代遅れになっている」と述べた。

ルーカス氏もこれに同意し、オンラインとオフラインの体験を一つのシームレスな流れに統合する難しさを指摘した。「人々はもう行列に寛容ではない」と語る一方で、テクノロジーがホスピタリティを完全に代替できるわけではないとも強調した。「一定のサービスや人との関わりを求める人はまだ多い。重要なのは、そのバランスを正しく取ることだ。」

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