スポーツブック事業者にとって、ワールドカップは新規顧客の獲得と収益拡大の大きなチャンスであり、4年に一度しか訪れない機会と見なされることが多い。しかし、Betsson Groupの最高商務責任者兼最高マーケティング責任者であるロニー・ハートヴィグ氏は、より慎重な見方を示している。同氏によれば、大会は膨大な数の潜在顧客を生み出す一方で、最大の恩恵を受けるのは、すでに市場で上位の地位を確立しているブランドだという。
同氏はこれを「表彰台ポジション(podium position)」と呼ぶ。これは、ベッティング企業が十分な知名度、認知度、信頼性を獲得し、ときどきベットを楽しむユーザーにとって自然な選択肢となっている状態を指す。
「市場のリーダーになることが理想ですが、そうでなくても少なくとも2位か3位には入りたいものです」と、ハートヴィグ氏はSiGMA Newsに語った。「その位置にいればブランド力が確立され、人々の第一想起となり、ときどきベットをする人にとって自然な選択肢になります。」
主要な国際大会には、通常の国内リーグ期間中にはほとんど、あるいは全くベットをしない人々も集まる。そうした人々にとって重要なのは、複数のプラットフォームのオッズを比較することではなく、すでに知っているブランドを選ぶことである。
「彼らは選択肢を比較する時間をかけません」とハートヴィグ氏は述べた。「『ベットしたい。知っているブランドはどこだろう。Betssonなら知っている。何度も名前を聞いたことがあるし、Interのスポンサーでもある』と考えるだけなのです。」
市場は拡大するが、全員に平等な機会ではない
ワールドカップは、サッカーという競技を超えて国全体にとって重要なイベントとなるため、ベッティング市場全体を拡大させる。ハートヴィグ氏によると、大会が持つ感情的な魅力は、休眠顧客や利用頻度の低いベッター、さらには通常であればスポーツブックのアカウントを開設しないような人々まで引き寄せるという。
「魅力は感情にあります」と同氏は語る。「大会は国を一つにまとめ、ワールドカップともなれば地域や世界中の人々を結び付ける力があります。」
この感情的なつながりは、ベッティング行動にも変化をもたらす。サポーターは、客観的な分析よりも自国代表を応援する気持ちを優先してベットする傾向が強くなる。ハートヴィグ氏は、アルゼンチンを、国民の自信とベッティング活動が連動していた市場の一例として挙げた。
「ワールドカップ期間中は、情熱的なベッターがはるかに増えます」と同氏は述べた。「普段はベットをしないアルゼンチンの人たちが、わざわざブラジルにベットするために参加することはありません。それだけは断言できます。」
しかし、この盛り上がりが自動的に収益増加へつながるわけではない。代表チームが本大会に出場しているかどうか、その企業がすでにどの程度スポーツブック市場でシェアを持っているか、そしてブランド力の強さが結果を左右する。カジノ事業を中心とする事業者が、大規模なサッカー大会だけでスポーツベッティング事業が大きく成長すると考えるのは楽観的すぎると、ハートヴィグ氏は指摘する。
「ある市場で売上の80%がカジノ事業によるものであれば、スポーツブック部門だけが大きく成長すると期待するのは少し甘い考えです」と同氏は説明した。
同じことは、ブランド認知度が低いまま大会を迎える事業者にも当てはまる。ワールドカップ期間中の広告によって認知度を高めることはできても、わずか数週間で市場のトップブランドになることは難しい。
「表彰台ポジションに到達するには長い時間がかかります」とハートヴィグ氏は語る。「そこへ至るには何年にもわたる投資が必要なのです。」
そのためBetssonでは、市場によってワールドカップの効果は大きく異なる。グループのブランド力がすでに強く、顧客基盤におけるサッカーファンの割合が高い市場では、大会が大きな取引増加につながる。一方、代表チームが本大会出場を逃した市場や、依然としてクラブサッカーへの関心が高い市場では、その効果は限定的になる可能性がある。
興味深いことに、大会の効果はスポーツブックだけにとどまらない。「多くの国でカジノ事業にもプラスの効果が見られます」とハートヴィグ氏は明かした。既存顧客がスポーツベッティングとカジノを行き来し、サッカーベットで得た賞金をカジノで使ったり、ベットに負けた後にカジノゲームへ移ったりするケースが見られるという。
最終スコアだけが結果ではない
ブックメーカーは当然ながら、大会を収益や利益率の観点から評価する。予想外の結果が続けば事業者に有利となる一方、人気チームが勝ち続ければ利益率は圧迫される。ハートヴィグ氏によると、大会序盤はブックメーカーにとって非常に好調だったが、決勝トーナメントに入る頃には利益率は通常の水準へ戻っていったという。
「大会序盤は予想外の結果が相次ぎ、ブックメーカーにとって非常に良いスタートとなりました」と同氏は語った。「しかし大会が進み、とりわけ決勝トーナメントに入ると、利益率は通常の水準へ戻りました。」
同氏は、全体として利益率は「まったく問題ない水準だった」と評価する一方で、大会の成功を短期的な取引成績だけで判断すべきではないと強調した。
より重要なのは、大会期間中に獲得あるいは呼び戻した顧客が、その後どうなるかという点である。次の国際大会まで離脱する顧客もいれば、国内リーグ再開後も利用を続ける顧客もいる。後者となるかどうかは、事業者がシンプルで信頼できるサービスを提供できたかにかかっている。
「入出金が簡単で、目的のベットを見つけやすく、全体の利用体験が良ければ、顧客を維持できる可能性は高まります」とハートヴィグ氏は語った。
ここにワールドカップの長期的な価値がある。事業者は大会終了後に顧客コホートを分析し、どれだけの顧客が利用を継続しているかを確認することで、その後6〜12か月間の業績を予測できる。
「ワールドカップ期間中に新規顧客を獲得できず、良いサービスも提供できず、休眠顧客も呼び戻せなければ、その後6〜12か月間に成長を実現することははるかに難しくなります」とハートヴィグ氏は述べた。
タイミングも重要である。夏の国際大会終了から国内リーグ再開までの期間は比較的短く、スポーツブックは顧客獲得から定着へと素早く移行できる。ハートヴィグ氏は、国内リーグ開幕直後の数週間を、利用者が今後使い続けるプラットフォームを決める重要な時期だと位置付けている。
「もし顧客が他社を選び、そこで満足してしまえば、その後に乗り換えてもらうのは非常に困難になります」と同氏は語った。
つまり、ワールドカップとは単独の販促イベントではなく、それまで築き上げてきたすべてと、その後に提供するすべてが試される場なのである。成功を左右するのは事業規模だけではない。ブランドへの親しみやすさ、商品・サービスの質、そしてタイミングも重要である。大会は何百万人ものサポーターを同じ感動の瞬間へ導くが、ハートヴィグ氏は、その瞬間に最も優位に立つのは、すでに「表彰台」に立っているベッティング企業だと考えている。
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